時計がジリリリンと鳴った。
まだ眠い目をこすりながら時計を見ると10時だった。
「あと1時間…」
バシャバシャと顔を洗って鏡を見た…目がパンパンに腫れている。
昨日のレイトショーで観に行った犬の映画のせいだ。日本中が涙したって書いてあったら泣くに決まってんだろ…今日はアキちゃんと会うってのに。
そう、今日は初めてのデートだからーアキちゃんはそう思ってるのかは知らないがー男らしいところを見せてドキドキさせてやるんだ…!
待ち合わせ場所についた俺はまだふわふわとした気持ちのままぼーっとビルとビルの間の空を眺めていた。
ガヤガヤとした都会の喧騒の中から俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
ハル…
「ハル?」
振り向くと、アキちゃんがにこにこ可愛い笑顔で「よ!」と片手を上げて立っていた。
「よ!」と返した俺の顔はさぞかしニヤニヤしていたと思う。
可愛すぎるその笑顔でゆるんだ気と顔をシャキッと引き締めて「今日は俺がエスコートするから」と宣言した。
アキちゃんは「年下のくせに生意気な」と言ってクスクスと笑った。
初めてアキちゃんと出会った日、俺はまだピカピカの小学一年生だった。
鼻くそほじくってた頃の俺を見てしまっているんだ、バカにされてもしょうがないよな。
俺が高校に上がった頃、ヒョロヒョロの女々しそうな男と手を繋いで歩いているアキちゃんを見たあの日、俺の恋は終わったと思っていた。
だがどうだ、青春の日の俺よ。ハルの胸はじーんと熱くなった。泣いて喜べ、やっとこの恋のスタートラインに立てたぞ。
「え?ちょっとなに泣いてんの?!」
「あ、ごめん。世界の全てに感謝してた」
「なに言ってんのよ、早く行かないとボンボンのプリン売り切れちゃうよ?」彼女はケラケラと笑って俺の肩をペシっと叩いた。
オノマトペ(擬音語)であそぼの回
写真とお話の舞台は、愛知県名古屋市にある「洋菓子・喫茶ボンボン」
住所 〒461-0001愛知県名古屋市東区泉2丁目1-22(地図)
TEL 052-931-0442
営業時間
洋菓子店 8:00~21:00
純喫茶
【日・祝・隣の天津楼がお休みの日】8:00~21:00(L.O 20:45)
【上記以外の日】8:00~22:00(L.O 21:45)
定休日 年中無休
1949年創業のザ・純喫茶
ここのプリンは早過ぎれば仕込み中、遅れれば完売のスーパーレアなプリンなのだ
初めて訪問した時「夜だけど平日だしワンチャン…」と、淡い期待を寄せて注文したけどもちろん完売してたよね…笑
次回「番茶 プリンローヤル食す」の巻、ってことで