「楽しみだね〜」
少し低めの優しい声。
「俺たぶん初めて見る」
「うっそだ〜小学生の時とか行かなかった?」
「え、まじ?覚えてない」
「ぼーっとしてるもんね〜」
けらけら笑いながらわざと余計な一言を言ってくる。
最初こそ本気で気にしてたけど、今はむしろ言ってこないと物足りないというか心配になるくらいだ。
「椅子離れてるんだ」
何気なく口をついたその言葉に間髪入れず君の顔が覗き込む。
「ん?がっかりしたの?可愛いね」
なんだその嬉しそうな顔は。腹立つ。可愛くて、とは言わないけど。
「ばかにすんな」
言葉とは裏腹に俺も笑ってしまう。
指定席まで歩き各々座った。
照明が落ち、暗闇に包まれる。
リクライニングチェアに体を預け天井を見上げた。
天井が夕方の淡い空に包まれる。
『西の空に今日の午後の太陽が見えます。夕方になると、うっすら、月が見えることがありますね…今日の日没は19時11分…やがて完全に夕陽が沈み、星空が広がります…』
そこには、普段見る数え切れそうなくらいの星とは比べ物にならない、幾千もの星々が敷き詰められていた。
『街の明かりで隠れていた星が、実はこんなにも沢山輝いています。東の空に見えるのは…』
ゆったりとしたナレーションの声。
ベガ、アルタイル、デネブを結んだ夏の大三角形。
こと座、わし座、はくちょう座が星を結んで描かれる。
おお、昔の人にはこう見えたのか…いやでもこと座はちょっと無理やりな気がするな…
こうして見てみると案外楽しいもんだ。
ナレーションの声も落ち着くし、涼しいし。また一緒に来たいな。
心地いい空間で脱力仕切った身体が、だんだん沈んでいくような感覚。
まぶたが、重くなってきた…あれ、今なんの話だ…?必死に耳を傾けてみる。
『おりひめとひこぼしがであう…しちがつなの…たなば…』
ナレーションがいつしか子守唄に変わり、抵抗虚しく俺は眠った。
『以上をもちまして“君と見上げる夏の星空たち”は終了いたします…』
うわ、終わってるし…
「寝てたでしょ」
バレてるし。
「夏の大三角形は見た」
「もぉ〜序盤もいいとこなんですけど〜!」
と、俺の腕を叩いて面白そうだ。腕から君の手が滑り落ち俺の手を握る。
君は本当によく笑う。この笑顔をずっと見ていたいと心から思う。できればこの先も俺の横で、とも…。
シャイな人の恋愛模様って可愛いですよね〜
シャイって言葉がすでに可愛い
番茶は、最初からじゃなくても
仲良くなると犬みたいな人がいいですね
愛情表現豊かで、一緒に楽しんだり、静かに寄り添ってくれたり、、
あと言葉選びが優しかったり、面白かったり、素敵な人
恋愛どうこうというより普通に一番仲良くなりやすいですね
余計(よけい)間髪入れず(かんぱついれず:むっちゃはやく)覗く(のぞく)裏腹(うらはら:逆に)照明(しょうめい)暗闇(くらやみ)天井(てんじょう)淡い(あわい)日没(にちぼつ)夕陽(ゆうひ)沈む(しずむ)幾千(いくせん)描く(えがく)涼し(すずし)心地いい(ここちいい)脱力(だつりょく)必死(ひっし)傾ける(かたむける)子守唄(こもりうた)抵抗(ていこう)虚しく(むなしく:形だけで中身がない)序盤(じょばん:最初の方)叩く(たたく)滑る(すべる)握る(にぎる)
愛知県名古屋市の『名古屋市科学館』で、
なんと世界最大のプラネタリウムドームです
ここのプラネタリウムは椅子がちょっと珍しくて、
・一つ一つ離れていて
・左右に回転します
真ん中の方に座ってても、端から端まで楽に見渡せて最高なんです
さらに、
普通なら映画みたいに、収録された音楽やナレーションが流れるだけなんですが
名古屋市科学館は違います
・学芸員さんがナレーションしてくれて
・わかりやすくて面白い解説が聞ける
素敵な音楽で癒されるプラネタリウムもいいけれど
学芸員さんの単独生ライブもめちゃくちゃ落ち着くし
話も面白いから、知的好奇心がくすぐられます
すごく些細なことかもしれないけれど
その日の名古屋市の夕方から星空になるまでの再現から始まるのもよかった
異空間としてのプラネタリウムではなくて
日常との繋がりを大切にしてくれているような気がして好きだったな
7月頭に行ったんだけど、結構並んだなぁ
直前に行くとほぼ満席だから次の時間になっちゃう人もいたし
土日祝日、春、夏、冬休みシーズンは
午前中で売り切れちゃうらしいよ〜